アイノ&アルヴァ・アールトへの、拍手喝采。

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bedside water glass

食器棚から溢れるほどグラスを持っているのに、気付けばアイノ・アールト・シリーズのグラスばかり使っています。とくによく手に取っているのは、グレーのハイボール。色味といい、容量といい、手への馴染方といい、ちょうどいいんです。繊細すぎず重厚すぎず、適度な丈夫さ。表面の段差が指にかかって、滑り止めとなるのも絶妙。仕事場でカルティオを使っているときは、重くて直線的なので使うたびに緊張感(おそらくその緊張感すらもカイ・フランクによってデザインされているのは承知の上ではありますが)がありましたが、アイノは何の心配もなく楽に使えます。

 

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Bolgeblick

この段差は、水面に石を投げいれた時に生まれる波紋です。それは、1932年に発表された当時のこのシリーズの名前’Bölgeblick’(ボルゲブリック)からもうかがえます。「湖の国」としてのフィンランドのイメージと、この透明感をともなう波紋のデザインは、「これぞフィンランドデザイン!」と深い納得感があります。ちなみにこのシリーズは1936年のミラノ・トリエンナーレでゴールド・メダルを受賞して、一躍有名となりました。

 

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rain, grey, light blue, clear

ガラスは石英などから作られ、もともとは無色透明なものですが、金属酸化物(硫化物や塩化物の場合もあります)を加えることで色彩を作り出します。同じ形のグラスなのに、色味によって価格に上下があるのはこの理由が大きいです。また、ガラスの成分や融解する温度によっても色が変わることがあります。iittalaのガラス製品はカラーバリエーションが豊富なのが魅力のひとつです。気に入った色をチョイスして並べて飾る楽しみを味わう方は多いでしょう。(私もです!)

 

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『Aino Aalto アイノ・アールト』(TOTO出版)

ところで。アイノ・アールトという人物について説明するとき、彼女自身についてよりも、アルヴァ・アールトのパートナーであることに重きを置かれていることがままあります。確かにアルヴァは素晴らしい作品を数多く生み出した、フィンランドを代表する建築家でありプロダクトデザイナーでありますが、それにしてもアイノの情報があまりにも少ない。一度がっつり調べに母校の美術図書館に行こうかな、と思っていたら、先月良い本がTOTO出版から発刊されました。すぐ買いました。

一冊まるごとアイノ・アールト。こんなにまとまってる書籍もはじめてだし、アイノの引いた図面をこんなにたくさん見るのもはじめてです。当時の社会情勢や時代の雰囲気も書かれているのがありがたい。デザイン、特に建築は、その時代の社会・文化・経済・技術の状況を反映するものですから、バックボーンについての情報はあればあるだけ理解が深化します。知識は見えないものを見えるようにしてくれる貴重品です。これに関してだけは、欲深に求めてよいと思っています。

 

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Alvar & Aino Aalto Glasses

本書の中で、アルヴァとアイノのプロフェッショナル同士の対等な協働が1930年のアルテック設立契約書の中で力強く宣言されている旨の記述を読み、安堵しました。アールト夫妻のそれぞれの作品を見て「二人はきっと、作り手として互いに補完し合っていたのでは」と思っていたので。湖を、鳥の目で見たアルヴァと、虫の目で見たアイノ。彫刻の例を出すまでもなく、像を形作る際にはあらゆる角度から見ることが極めて重要であることを考えると、彼らが二人分の視点をもって制作活動に当たっていたことは、その作品を日常的に享受する私にとっても「本当に良かった!!!」と拍手喝采する事実なのです。

 

アイノ・アールト・シリーズ
http://www.hokuouzakka.com/products/list.php?name=aino160805

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